素形材(そけいざい)メーカーとは、「素材をかたちあるものに造形して部品を作るメーカー」のことです。
具体的には「鋳造(ちゅうぞう)メーカー」、「鍛造(たんぞう)メーカー」、「金属熱処理メーカー」などがあります。
いかにも町工場っぽくて「地味なことをやってそう」と思うかもしれませんが、働いてみたいと思えてくる魅力がたくさんあります!
もしものづくりに興味がある、就職先選びで悩んでいる方がいたら、素形材メーカーを視野に入れることをおすすめします!
本記事では、そのことについて詳しく解説しています。ぜひ最後までご覧ください!
素形材メーカーで働く現役の材料エンジニアが、素形材メーカーの魅力を伝えます!
素形材メーカーとは?
素形材(そけいざい)メーカーとは、「素材をかたちあるものに造形して部品を作るメーカー」のことです。
さまざまな造形法を利用し、主に鉄やアルミなどの金属素材を加工して部品を作っています。

ここでいう加工とは、素材を削って形をつくる「切削(せっさく)加工」とは違います。
材料の流動性を利用し、熱や力を加えることによって素材を変形させる加工のことをいいます。一般的に「成形加工」と呼ばれます。
例えば、代表的な造形法の一つに「ダイカスト」があります。
ダイカストとは、金型の中に溶けた金属を高速で圧入し、部品を型どる造形法のことです。古典的な造形法である「鋳造(ちゅうぞう)」が進化した造形法です。
これと似た造形法に「粉末冶金(ふんまつやきん)」があります。
粉末冶金とは、粉末にした金属を金型に入れて圧縮し、その後焼き固めて部品を作る造形法です。超硬材質の部品を作れるという特徴があります。
その他には「鍛造(たんぞう)」や「金属プレス」などの造形法があります。いずれの方法も金属素材に圧力を加えて変形させ、目的の形状をもつ部品を作ります。
素形材メーカーは、これらの造形法を活用してさまざまな部品を作っているメーカーです。
素形材メーカーによって作られた部品は、自動車メーカーや電機メーカーなどに供給されます。そこで部品が組み立てられ、製品が完成します。
つまり素形材メーカーは、完成品メーカーが必要とする形状や性質の部品をサポートする役割を担っています。

素形材メーカーが作る優れた部品がなければ、性能のよい自動車や家電を作ることができません。
日本のものづくりは素形材メーカーの技術力にかかっており、素形材メーカーがいなければものづくり産業が崩壊してしまう危険性すらあります。
素形材メーカーがそれほど重要な存在であることを知っていましたか?
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素形材メーカーで働きたくなる魅力
素形材メーカーには、どのような魅力があるのでしょうか。
一番の魅力は、完成品の高性能化に貢献していることです。その完成品の代表例が、自動車です。
日本製の自動車は壊れにくいことで知られています。耐久性があり、長距離走行しても壊れにくく、世界各国から圧倒的な信頼を得ています。
また、安全性能、環境性能、快適走行性能にも優れ、その性能の高さは世界トップクラスです。
それらの性能の高さは、素形材メーカーが作る高品質な部品が実現しているといっても過言ではありません。

例えば日本のダイカストメーカーは、高品質で超精密なエンジン部品を作る技術力があります。
日本製のダイカスト・エンジン部品は、海外製のものと比べると材料上の欠陥が少なく、なおかつ精密に作られています。
これがエンジンの性能を強化し、高い信頼性や環境性能をもった自動車を実現しています。

他にも日本の金属プレスメーカーは、プレス成形が難しい素材をプレス成形する技術力をもっています。
具体的には、ハイテンと呼ばれる超高強度な鋼材を割れないように、なおかつ精密に曲げる技術をもっています。
この技術により、軽量でありながら高強度の部品を作ることができます。これが自動車の衝突安全性能と環境性能の向上に役立っています。

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このように、素形材メーカーの技術力は完成品の高性能化に大きく貢献しています。
素形材メーカーで働く人は、それが「仕事のやりがい」となっています。そのようなやりがいを感じてみたくありませんか?
素形材メーカーで働くべき理由
もしものづくりに興味があり、就職先選びで悩んでいるなら、素形材メーカーを候補に入れましょう。
その理由を3つ、詳しく解説します。
① 国が後押ししているから
日本政府は、素形材産業が日本のものづくり競争力に重要な役割を果たしていると認識しています。
そして「素形材産業ビジョン」と呼ばれる政策を策定しており、素形材産業の維持・強化を後押ししています。

素形材産業ビジョンでは、2040年までに高付加価値分野への素形材品需要を増やすことなどを掲げています。
また、金属積層造形などの新しい造形技術の開発を支援しています。そのために、若い人材を取り込むことも積極的に行っています。
このように政府が後押し、さらには人材を求めているのに素形材メーカーで働かない手はないでしょう。
② 脱3Kが進んでいるから
3Kとは、「きつい」、「汚い」、「危険」の頭文字をとったものです。
労働環境が厳しい職場を揶揄する言葉であり、かつて素形材メーカーも3K職場と呼ばれていました。
鋳造メーカーを例にとると、作業員は粉塵まみれになり、火の粉を浴びながら作業することが当たり前で、劣悪な環境そのものでした。
いまでは業界全体で作業環境の見直しが進められており、多くの素形材メーカーが「脱3K」に取り組んでいます。
工場は粉塵が飛散しないように改善され、クリーン化が進んでいます。ロボットの導入により、危険をともなう作業が自動化されているところもあります。
これにより素形材メーカーは快適な職場へと変わってきており、誰もが安心して働くことができます。


③ 女性でも働きやすいから
ここまでご覧になって、素形材メーカーは男の職場というイメージをもった女性も多いかと思います。
ものづくりに興味・関心があったとしても、自分には難しい世界と感じる方もいるでしょう。
しかし、素形材メーカーでは女性社員を積極的に採用しているところが多くあります。
素形材メーカーに限らず、製造業界では人手が不足していることから、女性であっても貴重な人材となっています。
そこで素形材メーカー各社は、先ほど解説したような「脱3K」や「作業の自動化」などを進め、女性でも働きやすい職場を目指してきました。
実際、多くの女性従業員が活躍している素形材メーカーがたくさん見受けられます。

また「育児休業制度」や「子の看護休暇制度」などの取得に寛容的な素形材メーカーが多く、子育てと仕事を両立しながら働くことができます。
ものづくりに興味・関心がある女性の方は、ぜひ素形材メーカーに挑戦されてはいかがでしょうか。
おわりに
本記事では「素形材メーカーの魅力」や「素形材メーカーで働くべき理由」について解説してきました。
素形材メーカーの重要性や魅力、取り組みを知っていただけたのではないでしょうか。
就職活動、転職活動をされている方の就職先選びの参考になれば幸いです。
なお本サイトでは、ものづくり業界に従事する方・したい方の支援も行っています。
ぜひ以下のページもご覧ください。
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