【専門家が解説】鉄鋼メーカーの仕事内容を解説!

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鉄鋼メーカーの仕事内容はずばり、「鉄鋼を必要とする需要家のために鉄鋼製品を作ること」です。

その中では、さまざまな職種の人たちが鉄鋼製品づくりに関わっています。

この記事では「鉄鋼メーカーの仕事内容を詳しく知りたい」という方に向けて、鉄鋼メーカー従事者が実際の仕事内容をわかりやすく解説しています。

この記事を読むと、鉄鋼メーカーにどのような職種があり、どのような仕事が行われているのかがわかりますよ!

こんな方に読んでいただきたい
  • 鉄鋼メーカーに興味がある。
  • 鉄鋼メーカーに就職したい学生さん。
  • 鉄鋼メーカーに転職したい社会人の方。

鉄鋼メーカーの仕事内容は「鉄鋼製品を作ること」

鉄鋼メーカーの仕事内容はずばり、「鉄鋼を必要とする需要家のために鉄鋼製品を作ること」です。

鉄鋼製品と言っても色々あるわけですが、主に「鋼材」と呼ばれる鉄鋼製品を作っています。

鋼材とは?

主に構造物を作るさいに使われる鉄鋼材料のことです。鋼材が使われる構造物の例を挙げると、ビル、橋梁、自動車、船舶、電気機器、建設機械、工作機械、石油・ガスプラント、発電所などがあります。これらの構造物の重要部位には、必ずと言ってよいほど鋼材が使用されています。

鋼材
「鋼板(こうはん)」と呼ばれる鋼材

どんなものでも、ものを作るときには必ず「材料」が必要となります。「世の中にある金属製品の約95%は鉄鋼で出来ている」と言われており、鉄鋼メーカーは鋼材を必要とする需要家(各種製造メーカー、建設メーカーなど)に鋼材を供給する使命を担っています。

農家が作る野菜やお米がないと料理家は料理を作れないのと同じで、鉄鋼メーカーが作る鋼材が無ければ先ほど挙げた構造物などを作れません。私たちの生活がここまで豊かになることも無かったかもしれません。その意味では、「鉄鋼メーカーは社会に大きく貢献している企業」と言えます。

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鉄鋼メーカーには「高炉メーカー」と「電炉メーカー」がある

鉄鋼メーカーには大きく、「高炉(こうろ)メーカー」と「電炉(でんろ)メーカー」があります。両者の大きな違いは「製鉄の方式」です。

① 高炉メーカー

高炉メーカーは、「高炉」と呼ばれる大きな製鉄炉を使用して鉄を作ります。

製鉄の原料には「鉄鉱石」を使用し、鉄鉱石とコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)を高炉内で反応させることで鉄を作っています。作られた鉄は精錬(せいれん)によって不純物が取り除かれ、所定の成分に調整されたのち、鋳造(ちゅうぞう)で固められます。

こうして出来上がったものは「鋼片(こうへん)」と呼ばれます。鋼片はそのあと圧延(あつえん)されて所定の形に成形され、鋼材となって需要家のもとに届けられます。

高炉メーカーはこれらの工程を一貫して行っているため、大がかりな生産設備を有しています。そのため敷地面積も広大で、ひとつの町くらいの敷地面積があります。

現在、日本にある高炉メーカーは日本製鉄JFEスチール神戸製鋼所の3社のみです。 

② 電炉メーカー

電炉メーカーは、「電炉」と呼ばれる製鉄炉を使用して鉄を作ります。

製鉄の原料には「鉄スクラップ」を使用します。鉄スクラップとは、老朽化した鉄鋼建造物の解体作業や、金属加工工場などで発生した鉄の屑のことです。この鉄スクラップを電炉内で溶かすことにより、鉄が作られています。

作られた鉄は高炉方式と同じように精錬され、鋳造によって鋼片が作られたのち、圧延されて鋼材が出来上がります。

電炉方式は比較的環境に優しい製鉄法と言われているため、今電炉メーカーが注目されています。現在、日本にはたくさんの電炉メーカーがあります。

有名なところでは、東京製鐵共栄製鋼合同製鐵などがあります。 

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③ その他の鉄鋼メーカー

鉄鋼メーカーの中には、高炉メーカーと電炉メーカー以外にも、以下のような業態の鉄鋼メーカーがあります。

  • 特殊鋼(とくしゅこう)メーカー:工具鋼やステンレス鋼などの「特殊鋼」の生産に特化した鉄鋼メーカー。大同特殊鋼山陽特殊鋼などがある。
  • 単圧(たんあつ)メーカー:製鉄設備を持さず、圧延に特化して鉄鋼製品を作る鉄鋼メーカー。淀川製鋼所などがある。
  • 鋳鍛鋼(ちゅうたんこう)メーカー:鋳造または鍛造によって鉄鋼製品を作る鉄鋼メーカー。日本製鋼所などがある。

鉄鋼メーカーの職種と詳細な仕事内容

ここまでに解説してきたように、鉄鋼メーカーの仕事内容は鉄鋼製品を作ることですが、そこに多くの職種の人が関わっています。

以下では、鉄鋼メーカーの職種と、その詳細な仕事内容について解説しています。メーカーによって職種の呼び方や仕事内容が多少異なったりしますが、基本的にどのメーカーでも共通する仕事内容を記載しています。

① オペレーション

オペレーションは、鉄鋼製品を生産する設備を運転・操作し、実際に鉄鋼製品を作ります。

鉄鋼製品は次の図に示すようなプロセスで作られるため、それぞれの工程にオペレーターと呼ばれる人が配置され、オペレーションを行います。

鉄鋼材料の製造プロセス

オペレーターは、マニュアルや作業指示書に従って作業を行っていきます。例えば、以下の作業を行います。

  • 高炉、電炉、精錬炉、連続鋳造機、圧延機などの各種生産設備を運転・操作する。
  • 製鉄炉に原料を投入する。
  • 設備の運転状況をモニター等で監視し、温度調整や圧力調整などを行う。
  • 圧延機のロールを交換する。
  • 生産した鋼材の品質を確認する。

オペレーションに求められるスキルは「与えられた作業を正確に行うこと」です。行った作業が鉄鋼製品の品質に直結するため、マニュアルや作業指示書に書かれたことをしっかり守りながら正確に作業を行うことが求められます。

オペレーションの勤務形態は、2交代や3交代などの交代制勤務がほとんどです。「鉄鋼メーカーは危険な作業が多いのでは?」と思われがちですが、熱いものや重いものを扱うことが前提の職場のため、安全には十分な配慮がなされています。とは言え、現場では常に安全に対する意識が必要不可欠です。

② 設備技術

設備技術は、生産設備の設計、据え付け、改善に関する仕事を行います。

例えば、次のような仕事に関わります。

  • 新製品の生産設備の設計、据え付け、試運転、検証
  • 品質向上を目的とした操業データ解析と生産設備の改善
  • 製造コスト削減を目的とした生産設備の改善

このように、設備技術は新しい生産設備の立上げや、既存設備の改善などの仕事に関わります。このとき、開発部門やエンジニアリング業者と連携を取ることも多々あります。新しく設備を稼働するとなれば、オペレーターに対して操業の指揮をとることもあり、業務内容としては広範囲になります。

鉄鋼メーカーは成熟した産業だと思われがちですが、取り組み課題はたくさんあり、常に改善に取り組んでいます。例えば「今より鉄鋼製品の品質を良くする」、「生産コストを削減する」、「CO2を削減する」といったことが取り組み課題です。それらを達成するために設備を作り上げていくことが、設備技術の任務です。

設備技術に携わる人は「機械や電気の知識」が必要になります。そのため、高校や大学で機械や電気の勉強をしてきた人が活躍しやすいフィールドです。第一種または第二種電気工事士の資格を持っていれば、それを生かすこともできます。

③ 設備保全

設備保全は、生産設備の点検や補修を行います。

鉄鋼メーカーの生産設備には、24時間稼働しているものもあります。そんな生産設備が突然故障してしまうと生産活動に穴が空いてしまい、会社の損失となってしまいます。

そうならないよう、生産設備を日常的に点検して異常がないか確認し、異常が見つかれば補修を行います。工場が常に安定操業できるよう生産設備を整えていくことが、設備保全の役目です。場合によっては工場の高い場所に登ったり、暗い場所に潜入したりすることもあります。

設備技術と同じように、設備保全に携わる人は「機械や電気の知識」が必要になります。一見、地味そうな職種に見えますが、たくさんの設備補修用道具を身に付けて工場内を歩いている姿はかっこよく、製造現場からは頼られる存在です。

④ 営業

営業は、鉄鋼製品の営業に関する仕事を行います。

営業の仕事内容は、大きく2つあります。

  1. 鉄鋼製品の見積りや受注を行う。(受注業務)
  2. 市場調査や顧客への製品提案を行う。(マーケティング業務)

受注業務では、鉄鋼製品について問い合わせがあったさいに、製品の仕様打ち合わせや見積り書の作成などを行います。実際に注文があれば、このあと紹介する生産管理部門に注文情報を引き渡し、製品を製造してもらいます。工場では対応できる形状や材質、日程などが限られているため、関係部署とコミュニケーションを取りながら受注業務を行うことが求められます。

マーケティング業務では、市場調査や顧客への聞き込みなどを行い、需要拡大が見込めそうな鉄鋼材料などを調査します。有益な情報があれば、開発部門などに展開します。また販路拡大のために、新規の顧客に対して製品のPRなども行います。

営業に求められるスキルは、なんといっても「コミュニケーション能力」です。顧客とのコミュニケーションだけではなく、社内の関係部署ともコミュニケーションを取りながら仕事を行うことが大事です。

営業は、主に文系出身の人間が活躍しています。鉄鋼の知識については、基本的なことは知っておく必要があるものの、技術的なことは生産管理部門などの人間がフォローしてくれます。

⑤ 原料調達

原料調達は、鉄鋼製品の製造に必要な原料や資材などの調達を行います。

原料とは、鉄鉱石、石炭、石灰石、鉄スクラップ、合金材料などのことです。鉄鋼製品の生産量を見極めながら、これらを必要なときに必要な量だけ調達することが原料調達の役目です。原料を調達するための船の手配なども行います。

原料の価格は社会情勢などに大きく左右されます。会社としては原料を出来るだけ安く調達したいため、市場の動向などをチェックし、取引先と交渉しながら調達を行います。大手メーカーでは海外の企業と直接取引きを行うため、語学力が求められます。

⑥ 研究開発

研究開発は、鉄鋼材料に関する研究や、新製品の開発などを行います。

鉄鋼メーカーは、これまでも優れた鉄鋼製品を開発して世の中に届けてきました。代表的なもので言えば、「ハイテン」の名で知られる「高強度鋼板」という鉄鋼材料が挙げられます。

ハイテンは軽量でありながら強度が高く、なおかつ加工性がよいため、自動車のボディに適用することで「車体の軽量化」と「衝突安全性」の両立を実現し、燃費の向上に貢献してきました。

このように、研究開発では世の中のニーズをとらえながら最新の材料研究や新製品開発などを行います。大学や製造メーカーと連携しながら研究開発を行うことも珍しくありません。大学などで金属材料の研究に携わった経験を持ち、研究が好きな人向けの仕事と言えます。

⑦ 生産管理

生産管理は、鉄鋼製品全体の生産内容や生産状況について管理する仕事を行います。

具体的に、次のような仕事を行います。

  • 営業部門を通して顧客からの注文情報を受け付け、製品の仕様を取りまとめる。
  • 製品の製造仕様書、納入形状図、工程表などを作成し、顧客に提出する。
  • 製品の製造に必要な工程や製造条件などを検討・決定し、工場用に指示書や図面などを発行する。
  • 製造の進捗状況を管理する。

鉄鋼メーカーでは、さまざまな種類・数の鉄鋼製品が工場内で製造されています。納期もそれぞれ異なります。それらの製品が仕様通りに、また納期通りに製造されるように管理することが生産管理の役目です。

生産管理は鉄鋼製品の製造条件を決定する必要があることから、鉄鋼材料、規格、設備に関する知識を身に付けることが求められます。鉄鋼製品の商談段階では、顧客との仕様打ち合わせにも参加します。

⑧ 品質管理

品質管理は、製造された鉄鋼製品の品質検査を行います。

品質検査を行う人は「検査員」と呼ばれます。具体的に、検査員は以下のことを行います。

  • 強度や硬さが規格通りか確認する。(引張試験、硬さ試験)
  • 寸法が規格通りか確認する。(寸法検査)
  • 外観に異常がないか確認する。(外観検査)
  • 金属組織に異常がないか確認する。(マクロ組織試験、ミクロ検査試験)

これらの品質検査は、あくまでも一例です。原子力用製品や航空用製品などの製品になると、より多くの検査や厳しい検査が求められます。

品質検査は試験機器や測定機器を使用し、検査員自らの手や目で慎重に確認していきます。欠陥を見落としてしまうと、重大なトラブルにつながる恐れがあるため、品質管理は作業に慎重さが求められます。この品質検査は顧客が立ち会うことがあるため、検査員は顧客に対して説明を行うこともあります。

⑨ 品質保証

品質保証は、製造された鉄鋼製品の品質を保証する仕事を行います。

ここまで解説してきたように、鉄鋼製品は製造部門が製造し、検査部門が検査を行います。その鉄鋼製品が規格や顧客の要求事項を満たしていることを確認し、「合格」の判を押すことが品質保証の役目です。

また、品質マネジメントシステムの運用を行うことも品質保証の重要な仕事です。品質マネジメントシステムとは、製品の品質を守るための社内システムのことです。具体的に以下のことを行います。

  • 品質に関わる活動について規定したマニュアルや規則類を作成する。
  • 内部監査を計画、遂行する。
  • 製品に品質上の不具合やクレームが発生したときに対応を行う。
  • 品質上の不具合を発生させた部署に対して原因の究明と是正を指導する。

このように、品質保証は鉄鋼製品の品質が損なわれることがないよう、システムを構築し、維持していきます。これによって品質に関する不正が起こることや、粗悪な商品が市場に出ていくことを防いでいます。そのため、品質保証は「最後の砦」とも言われています。

鉄鋼メーカーの仕事はつまらない?

鉄鋼メーカーに対するイメージとして、次のように思ったりしていませんか?

鉄鋼メーカーはただ鉄を作っているだけ

鉄鋼メーカーの仕事はつまらない

これに対する筆者(鉄鋼メーカー従事者)のアンサーは、「いいえ、鉄鋼メーカーの仕事は面白いです!

その理由は、鉄鋼メーカーにはまだまだ伸びしろがあるからです

前述したように、鉄鋼メーカーには色々な取り組み課題がつきまとっています。どうやったら低コストで作れるか、どうやったら高効率で作れるかなど。鉄鋼メーカーで働く社員一人一人のアイデアが試されます。特にCO2削減は鉄鋼メーカーの喫緊の課題となっています。もし、現場で働くオペレーター自身がCO2を減らせる操業技術を見出すことができれば、大きな社会貢献となります。

また、生活が豊かになったと言えども、人類はまだまだ快適性を求めています。鉄鋼はそれを実現できる可能性を秘めています。このように人類成長の根端に携わることが出来ると考えると、鉄鋼メーカーの仕事は面白いと思いませんか?

鉄鋼メーカーで働こう!

鉄鋼メーカーの職種と、その詳細な仕事内容について解説してきました。

鉄鋼メーカーは、鉄鋼を必要とする需要家のために鉄鋼製品を作ることが仕事です。鉄鋼メーカーは社会に大きく貢献しており、その仕事にはやりがいがあります。鉄鋼メーカーに興味を抱いた方は、ぜひ鉄鋼メーカーへの応募を検討してみてください。

特に、次にような方に鉄鋼メーカーはおススメです。

  • ものづくりが好きだ。
  • スケールが大きい仕事がしたい。
  • 社会に大きく貢献できる仕事がしたい。

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