「鉄鋼業界で働くときに、資格は必要?」
その答えは、“資格を持っていなくてもOK”です。
しかし、鉄鋼業界で働くなら資格を持っておくことをおすすめします。資格を持っていると、色々なメリットを受けられるからです。
本記事では、資格を取ることのメリットや、鉄鋼業界で活かせる資格について解説しています。ぜひ最後までご覧ください!
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鉄鋼業界で働くときに資格は必要?
基本的に資格はいらない
基本的に、鉄鋼業界で働くときに資格はいりません。
特別な資格を持っていなくても、鉄鋼業界で働くことができます。
「鉄鋼メーカーは危なそうな仕事が多そうだけど、資格がなくて大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、鉄鋼メーカーに入社した人は数か月間かけて安全、衛生、社会人マナー、鉄鋼の基礎などに関する研修を受け、必要な知識を身に付けていきます。
そして、各職場に配置されたあとは先輩に教えてもらいながら仕事手順を学び、スキルを身につけていきます。とは言え、中には危険を伴う職場もあるため、安全に対する指導や教育は日常的に行われます。
多くの鉄鋼メーカーでは、このような研修や教育を行いながら社員を育てていくため、未経験、無資格の人でも働くことができます。そのため、鉄鋼業界に就職するときに資格はいりません。
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場合によっては資格が必要
職場によっては、資格がないと行えない作業があります。例えば、以下のような作業です。
- クレーン操作
- 玉掛け
- ガス溶接
- アーク溶接
クレーン操作
鉄鋼メーカーで扱う資材や製品はどれも重量があるため、基本的にクレーンを操作してこれらの運搬を行います。クレーンを操作する人は、扱うクレーンの種類に応じた資格がいります。
代表的な資格は、床上操作式クレーン運転資格です。床上操作式クレーン運転資格は、床上操作式クレーン運転技能講習を受けることで取得することができます。工場で作業する人は、大体の人がこの資格を持っています。
玉掛け
玉掛けとは、クレーンのフックに荷をかける作業のことです。この作業を行う人は、玉掛け資格がいります。通常、クレーン運転資格とあわせて取得します。
玉掛け資格は、玉掛け技能講習を受けることで取得することができます。(つり上げ荷重が1トン以上の場合。1トン未満の場合は「玉掛け特別教育」を受けることになる。)
ガス溶接
鉄鋼メーカーでは、鉄鋼構造物の製作や設備の補修などの場面でガス溶接を行います。ガス溶接を行う人は、ガス溶接技能者の資格がいります。
ガス溶接技能者の資格は、ガス溶接技能講習を受けることで取得することができます。
アーク溶接
ガス溶接同様に、鉄鋼メーカーでは鉄鋼構造物の製作や設備の補修などの場面でアーク溶接を行います。アーク溶接を行う人は、アーク溶接技能者の資格がいります。
アーク溶接技能者の資格は、アーク溶接特別教育を受けることで取得することができます。
費用は会社が負担してくれる
資格を取得するときは受講費用、受験費用などが必要ですが、基本的に会社が負担してくれます。
というよりも、「費用を会社で負担するから、ちゃんと資格を取ってきてね!」という感じで資格を取りに行かされます。なぜなら、法律や法令上、それらの資格を持たない者をその仕事に就かせてはならないからです。無資格の人を仕事に就かせると、会社は罰則を受けることになります。
資格を取得するタイミングとしては、会社に入社したときや、資格が必要になったときに取得していきます。
必要なくても資格を持つ人は多い
ここまで述べたことを復習すると、基本的に鉄鋼業界で働くときに資格はいりません。しかし、仕事をする上で資格が必要な場合があるので、その場合は入社したあとに必要な資格を取得していきます。
では、仕事をする上で資格を必要としない人は何も資格を持っていないのかというと、そうではありません。
実際は、鉄鋼業界で働く多くの人が何かしらの資格を持っています。その理由は、資格を保有することによって多くのメリットを受けられるからです。
資格を持つメリット
資格を持つと、以下のメリットを受けることができます。
詳しく見ていきましょう!
スキルアップできる
資格は、特定の専門分野について勉強し、その分野の知識やスキルが一定の水準を満たしていると認められた結果、得られるものです。
そのため、資格を取得した人は新しい知識が身に付き、自然とスキルアップしています。資格は、その分野について高い専門性やスキルを有していることの証なのです。
新しいスキルが身に付くと、できる仕事の幅が広がります。新しい仕事にチャレンジできるようになりますから、そこでさらにスキルが磨かれ、どんどんスキルアップしていきます。
また、周りの人が持っていない資格や難しい資格を持っているとモチベーションもアップし、仕事に対するやりがいが生まれます。
年収がアップする
資格を取得すると、会社から報奨金や資格手当てをもらうことができます。
一般的に取得が難しい資格ほど、その金額が大きくなります。難関の資格ともなると、3万円もの報奨金を出しているメーカーもあります。また、取得している資格数が多いほど毎月の資格手当も増えるため、結果として年収がアップします。
それだけではありません。資格を取得すると昇進につながり、年収がアップします。
資格を取得すると、上司からその頑張りを評価してもらえるようになります。問題が発生したときには、高い専門性を生かして問題解決へと導くこともできます。会社への献度が大きいと評価され、それが昇進へとつながり、年収がアップします。
筆者も入社後に「第一種衛生管理者」と「第一種公害防止管理者(大気)」という2つの国家資格を取得しましたが、資格取得時にそれぞれ五千円の報奨金をもらえました。また、毎月数千円の資格手当てをもらえています。
転職しやすくなる
資格は高いスキルを持っていることの証明となるため、転職時に有利になります。
誰もが一度や二度は転職を考えるときがありますが、何もスキルがない状態だと、転職できるかどうか不安ですよね。
採用する側としてはやはりスキルの高い人材を採用したいため、資格の有無は評価の対象となります。資格を持っているとスキルが高いと評価されるだけでなく、向上心や努力があると評価されます。そのため、資格は転職時に大きな武器となります。
資格を持たない人の末路
では、企業に入社してから何も資格を持たないままでいると、どうなるのでしょうか?
一概に言えませんが、「資格を持たない人=スキルが乏しい人」だと言えます。
スキルがない人は、誰でもできるような平凡な仕事を延々とやらされます。また、新しいことを学ぼうという向上心や意欲がないため、周囲から頼りにされません。その結果、会社からの評価が上がらない、なかなか昇進できないということになり、年収が伸びません。
気づいたときには新人と何ら変わらない仕事をしている、同期や後輩にどんどん先を越される、なんてことも。そうなると職場にいづらくなり、いざ職場を変えようと思い転職を試みても、たいしたスキルがないため、よい職場への転職は期待できません。
資格を取ろう!~鉄鋼業界で活かせる資格~
資格を取るメリットがわかったら、ぜひ資格を取得してみましょう!
資格を取得すると、社会人生活が今よりも充実すること間違いなしです。とは言え、世の中には色々な資格があるため、どんな資格を取ったらいいかわからないですよね。
ここでは、鉄鋼業界で活かせる代表的な資格、はたまた他業種でも通用する資格を紹介していきます。鉄鋼業界だけでなく、他業種に転職したいとなったときに役立つ資格ばかりです。
以下は、紹介する資格の一覧です。
- 危険物取扱者
- 電気工事士
- 機械保全技能士
- エックス線作業主任者
- エネルギー管理士
- 衛生管理者
- 公害防止管理者
① 危険物取扱者
危険物取扱者とは、危険物を取り扱うときに必要な国家資格のことです。
鉄鋼メーカーでは燃料に石油や灯油などを使用しますが、これらの燃料を貯蔵または取り扱うときは危険物取扱者の資格が必要になります。
消防法では、一定量以上の危険物の製造・貯蔵・取り扱いを行う施設には危険物取扱者を設置するよう定めてます。そのため、危険物取扱者は石油卸売業や化学業などの幅広い業種で需要があります。
② 電気工事士
電気工事士とは、電気設備の工事や取り扱いに携わることができる国家資格のことです。
鉄鋼メーカーには多くの生産設備があり、中には24時間稼働している生産設備もあります。工場が安定操業できるよう、電気工事士はこれらの生産設備の保全業務を行います。
家屋、ビル、工場など、電気工事が必要な場所には必ず電気工事士が必要なため、電気工事士はあらゆる業種で需要が高い資格です。
③ 機械保全技能士
機械保全技能士とは、機械保全技能検定を合格することによって取得できる国家資格のことです。
機械保全技能士は、工場の機械設備が正常に作動するように、機械設備の保全作業を行います。具体的には、故障を防ぐためにメンテナンスや診断、また故障発生時の復旧作業などを行います。
工場を持つ企業において、機械設備の故障は製品の生産活動に大きな打撃を与えてしまいます。機械保全技能士は工場の安定操業を担ってくれるため、大きな需要があります。
④ エックス線作業主任者
エックス線作業主任者は、エックス線が発生する装置を使った作業をすることができる国家資格です。
鉄鋼メーカーではエックス線が発生する装置を使用し、製品の品質検査や分析などを行います。装置を扱うときは正しい知識が必要となるため、これらの作業はエックス線作業主任者のみが行えます。
エックス線は、老朽化した橋の内部を検査したり、海外から輸入した鉱物を検査したり、古美術品の内部を確認する目的でも使われます。そのため、エックス線作業主任者はこれらを行う建設業、商社、美術館などでも需要があります。
⑤ エネルギー管理士
エネルギー管理士とは、エネルギーの使用に関する管理を行うための国家資格です。
省エネ法により、一定量以上のエネルギーを使用する工場はエネルギー管理士を選任する必要があります。鉄鋼メーカーは多くの熱や電気を使用する業種であり、必ずエネルギー管理士を選任しなければなりません。
エネルギー管理士の基本的な仕事内容は、省エネを目指してエネルギー使用量の削減対策を行います。限りあるエネルギー資源を効率的に使用することはコスト削減にもつながるため、エネルギー管理士は製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業などの幅広い業種で需要があります。
⑥ 衛生管理者
衛生管理者とは、職場の健康障害・労働災害を防止する活動を行うための国家資格です。
衛生管理者の役割は、労働者が安全かつ健康に働ける職場を作ることです。具体的な仕事内容は、作業環境の管理、労働者の健康管理、労働者衛生教育の実施、健康保持増進措置などを行います。
常時50人以上の労働者を使用する事業所は、衛生管理者を設置する義務があります。そのため、衛生管理者は多くの企業で需要があり、社会的ニーズも高いです。
⑦ 公害防止管理者
公害防止管理者とは、公害を発生させないよう公害の防止対策を行うための国家資格です。
公害防止管理者は、公害が発生する可能性のある工場や施設などに常駐し、大気や水質、振動、騒音などの検査を行います。鉄鋼メーカーでは排水や排ガスが多量に発生するため、これによって近隣住民に健康被害を及ぼすことがないよう、公害防止管理者が対策を行います。
法律により、排水や排ガスなどを排出する特定の工場では公害防止管理者を選任することが定められています。そのため、公害防止管理者は製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業など、幅広い業種で需要があります。
資格の取り方
言うまでもなく、資格を取るには試験を受け、その試験に合格する必要があります。
試験の方式には「学科試験(筆記試験)」と「実技試験」があり、学科試験だけの場合があれば、学科試験+実技試験を行う試験もあります。それらには合格基準が決められており、その基準をクリアした者に資格が与えられます。
それらの情報はその資格のホームページに載っているので、取りたい資格が決まったら、まずはホームページで必要な情報を入手しましょう。そして受験願書を取り寄せて必要な手続きをすませ、受験しましょう。
ともあれ、試験に合格するためには勉強が必要です。頑張って勉強しましょう!
おすすめの勉強方法
ここでは、おすすめの勉強方法について解説します。
おすすめの勉強方法は、過去問を多く解くことです。
どの試験も出題傾向というものがあり、過去に出題された問題と似通った問題が多く出題されます。そのため、本屋さんに行って過去問集を買い、何度も過去問を解いて同様の問題を解けるようにしましょう。
とは言え、過去問集を買って勉強しても、中には試験に落ち続ける人がいます。そのような人は、問題の本質を理解していない可能性があります。
ただ暗記に頼ろうとしてしまうため、出題の仕方が少しでも変わると対応できなくなってしまうのです。確実に合格したいなら、本質を理解する勉強をしなければいけません。
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